漫画「鬼滅の刃」

そろそろ「鬼滅の刃」も話題に上らなくなってきましたが、みなさん、漫画は読みましたか?私は、年末にザッと一度目を通しただけだったので、最近、もう一度読み返してみました。そうしたら、改めて感じることがたくさんあり、少し書いてみようと思います。漫画を読んでいない方は、漫画を読んでみて下さいね!

鬼舞辻無惨が鬼殺隊と総力戦に臨む前、こんな事を言っていました。

お前たちは生き残ったのだからそれで充分だろう。身内が殺されても、自分は幸運だったと思い、元の生活を続ければいい。大災にあったと思え。天変地異で人がどれだけ死んでも、復讐しようとする者はいない。静かに暮らせばいい。ほとんどの人間はそうしている。なぜお前たちはそうしない?

これ、どう思いますか?「どんな事があろうと過去は変えられない。だったら受け取り方を変えて、前を向いて生きていこう!」と、講座で話してますが、それとこれとは同じに語れない。無惨の言っていることは、すり替えですよね。人が理不尽に亡くなる時、その命を無駄にしたくない、もう二度とそういう事が起こらないようにすることが残されたものの使命だと、人は考えるもの。その出来事をバネに、自分を成長させていく、世の中を変えていく。誰もが鬼殺隊でありたいと思うのではないでしょうか。

鬼は敵ですが、鬼殺隊と鬼、その生い立ちにはとても似た所があります。親兄弟や大切な人を殺され、相手に恨みを抱いている。例えば猗窩座。ようやく手に入れた幸せを、それを妬んだ隣の道場の男に奪われます。人間だった頃の猗窩座・狛治に敵わないからと、その男は井戸に毒を入れて狛治の大切な人を殺しました。妓夫太郎兄妹、人に蔑まれても一生懸命生きていたのに、妹を丸焼きにされ、兄である妓夫太郎も斬り殺されそうになります。豊かな生活をしている人間に。もし、猗窩座や妓夫太郎の大切な人を殺そうとしたのが鬼だったら、彼らは鬼になったでしょうか。もし周りの人間が彼らに温かく接していたら、どうだったでしょうか。炭治郎は家族を鬼に殺され、妹を鬼にされてしまいます。しかし、それがもし、鬼でなく人間に殺されていたら。炭治郎は鬼殺隊に入ったでしょうか。

上弦の壱・黒死牟は、最初の日の呼吸の剣士である継国縁壱の双子の兄。人間であった頃の黒死牟・継国巌勝は、自分より剣術に優れた弟に嫉妬の炎を燃やします。しかし、縁壱は子供の頃に家を出て行方不明に。巌勝は妻と子供を得て、家を継いでいましたが、ある日、鬼に襲われたことから鬼狩りとなっていた弟と再会。そこからまた嫉妬の炎を燃やすことになり、上弦の壱・黒死牟という鬼になります。黒死牟が鬼殺隊剣士との戦いに敗れ、崩れ去って行く時、「自分は一体何のために生まれてきたのだ。教えてくれ、縁壱。」という言葉を残しますが、その答えは、善逸の兄弟子であった獪岳の回に書かれていると感じました。

獪岳は元鬼殺隊剣士。善逸の兄弟子だった男。その頃から獪岳は、自分の待遇にいつも不満を持っていました。その不満が高じて鬼になるのですが、漫画の中に「心の幸せを入れる箱に穴が空いている。どんどん幸せがこぼれていく。その穴を塞がなきゃ満たされることはない。」と書いてあります。本当にそうだと思うし、黒死牟も同じだと思うのです。黒死牟は、弟である縁壱の剣の腕前に激しい嫉妬を抱きましたが、縁壱が心の底から望んでも得られなかったものを手に入れていました。それは、愛する家族と静かに暮らすこと。心の穴を塞がないと、いつまでたってもそれに気付けないし、その心の隙に、鬼が入り込むのではないでしょうか。

西洋には「悪魔」がいます。デビルとかサタンといい、人間に悪さをする恐ろしい存在とされています。しかし、仏教に悪魔は出て来ません。仏教でいう「魔」というのは、全部自分の内側のことを言います。宗派によって考え方は違うかもしれませんが、「魔」は外から来るものではないのです。

猗窩座や妓夫太郎の大切な人を殺した人間は、悪魔に取り憑かれたのでしょうか。違いますよね。自分自身の「魔」に負けたのです。自分より下のものを蔑む心、傲慢さ、自分より上のものに嫉妬する心、など、誰の心にも存在するもの、その「魔」に負けたから、鬼のような所業をしてしまったのでしょう。人間は、その言動で、肉体的な死だけでなく、心の死を与えることもあります。そうならないために、自分の内側の「魔」に勝たなければなりません。最後、炭治郎が内なる敵・無惨に勝ったのは、本当に素晴らしい結末だと思いました。

産屋敷耀哉が、「想いこそが永遠であり不滅」と言います。しかし、無惨もまた、「私の想いもまた不滅なのだ。永遠なのだ。」と言います。それは、どんな人も必ず自分の内側に鬼を持っている。人間が存在する限り、鬼も不滅なんだ、という事だと思いました。いかにその「鬼」を出さないようにするのか。そこを学び続けたいと思います。自戒を込めて。

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